最近不景気なのか、ネームバリューが上がってきたのか、AV男優になりたいとか、
スタッフでもいいからなんとか現場に入りたい、という話が出てくる。
素人男優の方から絡みをこなす男優になれるかというと、今はまず無理でしょうか。
なれるような虎の巻を今書いてるんですが、本気で見たい人なんていないでしょう。
ほとんどの方がよく考えてないのは、AV男優は始めるよりやめるほうが100倍難しいということ。
男優虎の巻はただなら見たい程度の人しかいないだろうか頑張る気もなく、
まあなんつーか個人的な体験からまとめてみようと思い、たまに書き留めている程度なのだけど
書きながらも男優業界の状況も変わってきてます。
90年代、2000年代、2010年代と分けるのが手っ取り早いけれど
2010年の数年を境に結構変わっています。
あと3年したらもっと変わるかもしれない。
そういう話で普遍的なことに絞るのはなかなか面倒くさい。
今は90年代の状況に近いです。
一握りの男優が、大手の数社にほぼ独占状態で持ち回り、ほかの入る余地がない。
原因はセルビデオ不況で撮影が減っているから
いきなり練習なしでプロと一緒に絡まないといけないとかそういうレベルです。
プロも仕事が減っているので必死だから、なるべく若い人には入ってきてほしくない。
いろいろせめぎあいがあるわけで。
ただいくらプロが邪魔しても、制作が使いたがる(素人から引っ張り上げる)男優というのは
かならず一定数います。
毎年2人ぐらいは入ってきて、一人は数年して自滅しますが。
自滅方法も面白くて、立たなくなるか、クスリに走るか、うつになるかです。
仕事がないのを誰か嫌な奴のせいにして、延々悪口をネットに書き殴る、という
輩も多いです。AV業界のネットの個人攻撃というのは、
まず間違いなく仕事が減ったか、なくなったかした男優くずれなどの腹いせですね。
それぐらい「将来に対する漠然とした不安」にさいなまれます。
若くして有名になればなるほど、普通の仕事をしていないわけですから、
30代40代で放り出されたら電話番も怪しいくらいのレベルなわけで
また男優はぬるま湯なので朝から晩まできっちり働くような仕事ができるわけもない。
ドロップアウトしても数年で戻ってきました、とか
復帰した、とか、またやらせてください、とか売り込んでくる人が本当に多い。
それぐらい一回でもAV男優で味を占めてしまうとふつうの社会では通用しなくなる。
AV男優、一回やったらやめられない、っていう感じで
やめることを誰も想定していない、できないという危うい仕事です。
今40代の男優も結構多いので、割と切迫している事態と思います。
かつては40代で仕事があるのが不思議だったので、今は10年寿命が延びています。
だから漠然とした不安は幸運にも続いており、現実を直視する事態は避けられています。
そうはいっても2020年ごろまでに多くの男優が
「ある日気づいたら自分は無職、無収入で、世間に通用するスキルが何もないことに気づく」
という冷酷な現実を直視することは避けられないでしょう。
AV男優になりたいという人がいたら、いつやめて、やめた後どうするのか、を
ある程度具体的にイメージしてから入ってくることをお勧めします。
私のように男優やりながら、こっそりほかの仕事や勉強をきちんとやっている、というのが理想です。
必ずあとでためになるからです。
ただし決して言わないほうがいいでしょう。
実は男優以外に別の仕事、勉強ですらやっていると専業のプロ男優からはすごく嫌われます。
彼らは常に世間に対応できないコンプレックスを抱えているので、
ほかの職業で通用しそうな人を潜在的に部外者扱いしたり、露骨に差別します。
(好きになってもらう必要なんて全くないが嫌われないほうが仕事はしやすい)
桜井ちんたろう氏も一時男優仲間にひどく嫌われていましたが、それは
彼の能力が高いからではなく、編集やカメラや監督業の勉強をしていてそれを言ってしまったから、
男優以外でも稼げる能力に対する仲間の潜在的な恐怖、嫉妬ではなかったかと思います。
(彼はもともと制作スタッフなので別に不思議はない)
なのでつい業界で気に入られて「俺たち男優専業どうし仲良しだ」(実態はノースキル仲間)
の罠にはまってしまうと毎日パチンコばかりして、仕事が減った時
人の悪口ばかりネットで書き連ねる醜悪な肉の塊になり下がります。
まさにゾンビの仲間入りです。
だから汁王子が趣味が高じて現場に行っていたころ、
「勉強はいいが絶対に汁男優仲間に群れるな」ときつく言っておきました。
こういう仲間意識やドロップアウトや嫉妬の面で、AV男優はホストと似ているところがあります。
ホスト上がりの男優が一定数いることからも共通点があるのでしょうか。
似ているがゆえに行動原理も似通っており、今後ホスト業界と同じトラブルが起こるような気もします。
2008年ごろホストがもてはやされ、年収を億と喧伝し、ホストクラブがTVに盛んに出て
ホストが毎日のように昼間からTV、雑誌で活躍する時期がありました。
今はそんなことないですね?
実はホストは法律や税金の面でルーズ、というか全くの無知・無防備だったのです。
そういうわけで相次ぐ狙い撃ち的な税務署の摘発、風営法の改正で営業をできなくされ、
ホスト業界は急速にしぼんでいきました。
何しろ太客のキャバクラ嬢の収入を減らすためにキャバクラの営業時間の規制まで
したのだから念が入っています。
徹底的にやられました。
(逆にガールズバーが誕生しました)
数年前にAV男優協会なる奇妙奇天烈な組織ができましたが、その時私は同じ危惧をしました。
AV男優協会というものはいつものように(数年おきに繰り返される)消滅しましたが、
今回はちょっと規模が大きいというか、メディアを使って大きく宣伝しようとする意図が
見えたので、危うさを感じていた。
それを言ったらケンカになってしまったので、以降一切触れなかったのですが。
危惧したのは、「法律や規制をよく知らない集団が一般社会に出て有名になろうとする意図」なのです。
アダルト業はただでさえ社会の表舞台で大きな顔をして偉そうなことを言うと必ずつぶされます。
ファンの多さは敵の多さの裏返しです。
最近どうも男優が黒子から主役に出ていこうというのを喧伝するのが流行りに
なりかけているようで、すこし気がかりです。
AV男優は業界にとって十分条件ですが必要条件ではない
AV男優は法律、規制、組織に保護されない。
実は業界がその気になって養成すれば代わりはいくらでもいる。
現状数が足りないのはメーカーや事務所が養成しても金にならないし
何もしなくても勝手に這い上がってくるからめんどくさいことはしていない
からで
本当にAV男優が世に出るなら映画やTVの俳優となるようなモデルに対抗できるのか、という話になってきます。
(AV男優にジャニーズのようなビジネス、競争原理をもちこむ意味があるのか)
これを言うとAV女優もTV女優を超えて有名になっている人がいるじゃないかと来るので
まあそれは確かにそうですが
AV女優とAV男優というのは、”必要条件”が全く違っているので比較になりません。
それぐらい商売になるのが女優ということです。
十分条件だけでは商売になりません。
ライトやミラーがなくてもバイクは走りますが、タイヤやハンドルがなければ走ることはできません。
そういう違いです。
もしAV男優が社会にでていくのなら、ハードルは今と比べ物にならないくらい高くなるでしょう。
現役の男優でルックスや理解力など、はたしてどれだけ生き残れるか?
むしろ自分の首を絞めるのでは?
私が思うに、これも将来に対する漠然とした不安が引き起こす勘違い行為と思いますけれど
一つ間違うと業界全体に大きな悪影響を及ぼすので、
AV男優になろうという人はくれぐれも影響されないようにしてほしいものです。
衝撃を和らげるには、やめ時、やめた後を常に考えて、行動しながらやっていくのがいいでしょう。