今年に入って店舗さんがかなり閉店し、問屋さんがいくつか逝って
比較的大手の問屋兼メーカーといわれていたところも業務譲渡で実質問屋廃業という
向かい風が吹いていますが、DVDの委託流通システムは
毎月
低価格の
新作
を相変わらず要求するため、
委託協賛金を取れる問屋兼メーカーですら豆腐AVに走らざるを得ないようです。
豆腐AVですよ。
最近の激安豆腐のからくりしってますか?
最近スーパーで1パックにすると50円、30円という激安豆腐が売られていますが、
まあ食べてみるとわかるんですが、絹ごしのように仕上げてはありますが
実質ゼリーみたいなもんです。
どんなに低価格の大豆を使っても、100円を切ると赤字なわけで、
いかに中間搾取を抜いても、50円を切ると豆腐としては存在しないわけです。
しかし存在していますね。
30円というのはもう大豆がどうなっているかすら怪しいので省きますが
50円くらいになると、まだ大豆らしさがのこるものがあります。
あれはどうやって作っているのか。
そこそこまだ大豆として味があるものを用意し、それに大量の水を混ぜて希薄化し、巨大な型を用意し、
トン単位の水槽で一気に科学凝固させて、切り取るわけです。
大量生産ですな。
うちに来る男優さんで東北の豆腐屋の二代目というのがいて、大震災の後の
復興で汁男優をやめて今田舎でがんばっているはずですが
すごくいい豆腐を作っている。
ああいう人にはぜひがんばって欲しい。
水増しの話。
AVも最近そういう風になりつつある。
まあうちも購入者がそれほど多いわけではないので、
女優さんを一日しか拘束できないとか、男優さんの早く帰りたい病を
鎮めるため段取りの制限とかあって、二本撮らなきゃいけないことがあった。
お客さんは執拗に一日で大量に、とか言うわけですが、
一本1万円がせいぜいの時代でもマニアビデオでそんなことしてたら破産しますよ。
それでもザーメンものという特性上、二本が限界なんです。
それ以上だとスタジオ代が倍かかる。
むしろ日を分けたほうがいい。
零細は絡むだけとかフェチとか特化しているので、そういうのは一日4本、5本最近
撮っています。
女優さんは朝8時から夜0時まで頭の先からつま先まで十分に使い尽くされるような
仕事になっていて、パケがかわいそうなことになっている。
うちの写真が零細な割りにちゃんとしているのは、そういう切羽詰った
押し込み撮影をそもそもできないという怪我の功名みたいなものです。
ところが市場には、数十万、場合によって100万近くする出演料の
女優さんの2500円前後の商品が流通しています。
あれが、水増しです。
大手メーカーには手下メーカー、というのがあって、いろんなメーカーがあるように
見せていますが、実質流通の全て、プレス、在庫、モザイク作業、下手をしたら
著作権まで保有しているのがほとんどです。
ですから100のメーカーがあるとしたら、モザイクまで自分で入れられるメーカーはせいぜい10でしょう。
90は、問屋系メーカーにモザイクも商品も握られて身動きできない、”手下”なのです。
なんの決定権も持たないし毎月2,3タイの新作を自動供給するように
最初から設計されて、ただ稼動しているだけ。
販売情報も知らないし、どこまでどう売れているのか社員がほとんどつかんでなくて
毎月3日くらい撮影撮影とその資金がどう出てくるのか知らないまま忙しく動いて
ある日突然会社がない、なんてリスクすら感じず働いています。
大手は本チャン目玉商品をその女優で撮って、そういう会社に水増しでついで撮りをさせるわけです
それでもきついので、朝から晩まで組んだらいろんなメーカー分のものを撮ったり、
あらかじめ撮影日をまとめ契約してシーン取りしておいて、オムニバスで出し、
5年分ぐらいたまったら、総集編で出し、
さらに数年後ジャケットを変えて、ちょっと追加してまた同じ総集編を出す。
順番なんて変えちゃくれません。変わるのはジャケットだけ。
それも尽きたので、まとめ撮り希薄化に知恵を使っています。
そういうわけで現場の食事や飲み物すらもはや出せる状態ではなく、
秋口からはちらほら撮影の停止状態になりつつある、と。
こういう話は借金と同じで、誰もしたくないから、完全にメーカーの代表なり
制作会社が夜逃げするまでわからないのですが、昨年ぐらいから弁当や飲み物がだせない
状態が当たり前で、さらに撮影が減ったので、ダクションさんに泣きつかれることも
多々ですから、年初の大量閉店と問屋の廃業が結構零細の活動停止を
呼んでいるのは推測できます。
それでも大手の2500円前後の商品が止まらないのは、そういう希薄化が
進んでいるからです。
見ている人が満足できるのか?という懸念が生じますが、
はっきりいってしまうと、いまやネットのお客さんをメーカーはほとんど当てにしてないです。
やはり路面店の売り上げがいちばん重要で、ネットでよく言われている
”評判”はそこではまったく関係ありません。
ネットではフルボッコのギジギジのなんちゃって作品でも”○○円有名女優”でバカ売れしちゃうんです。
2480円で文句を言う人もいないし、そもそも2980円を超えると通常のハメものフェチもの
(最近はマニアものまでいいものであれば、といわれて動かない)もうまったく動きがなくなるので
希薄化、は市場の要求でもあります。
ネット市場は欲しくない、というかもしれませんが、
ネットの良識ある、本番、女優のクオリティ、作品のクオリティ、に理解のあるお客さんは
批判し評論し、こういうのが欲しい、あの女優が見たい、的な話は毎日
熱心にされるし作品作りでヒントをくれたりもするのですけど、
たまに気が向いたら5000円でも買う、という層は残念ながら市場として
もう存在しないに等しく、消費者としてメーカーを支える状態にはない
うるさいだけの人、となっています。残念ながら。
うちはそういう意味ではそんなお客さんばかりなので安い商品作りづらいんですが、
やっぱ市場要求や問屋要求で安くしてきました。
さすがにMS01のような撮り下ろしはもう無理です。
といってもインディーズ系マニアックでは店頭では最安値メーカーといっても
いいところまで価格を落としたので、やりすぎたかな、とも思いますが。
男優10人無料で呼んで、フェラ発射だけの商品が6000円近くで
売られているのに比して、コストは優に10倍を超えているのに、3980円、4980円
できる女優もほとんどいないのを、6980円、
それでも売れなくなっている現状。
(DMCはブルーレイにシフトしている、といえなくもないですが)
普通のメーカーなら、ここまでやっていてさらにもっといい女優でなんだかはっきりいえないけど
琴線に触れるいいものが出たら1万円でも買うのに、といわれたら、
もうさじ投げてお客さんのアイデァ募集に走ることになります。
そこまでいわれたら何やっても一緒になるのでしょう。
そういうわけでマニアックはさらに希薄マニアックを高額路線に、
大手女優系メーカーは希薄化で低価格路線になっております。
どちらも希薄化しているのですが、安いほうがまだ良心的かもしれない。
今借金の少ないAVメーカーとしては路面店で1980円や2480円で文句をいうような人は
もはやいないので、なんとかそこに希薄化商品を投入して
店頭販売終了後はネット販売、終わるとレンタル、それと同時期にネットDL、
DVDトースター、といろんな方法で裏ごし販売しないと元が取れない。
(それをやると次の作品からどんどん売れなくなっていきますが)
女優も、安定して稼げる女優さんばかり雇うようになって、
新人やマニアックなメーカーから売れっ子が出てきづらくなってきている。
そんな感じで悪循環が起こる中、店舗の閉店は止まる気配がなく、
ミルキーも先読みして半年売り上げのないお店を思い切って解約し、
200店舗くらいまで店舗を減らしているので、さじ加減が難しい。
安い商品は出さないと販促できないけど、高い商品は回転せず、
店舗数を稼がないと販促の意味がない、
しかしそれほど多くのお店に配ってもかなりの数で商品が動かず、
ただの倉庫になってしまう。
送料コストを考えるとネット販売にシフトしたい、
ネットにシフトすると、店舗の売り上げ分がさらに下落する。
もうDVDやめようか
になってきます。
それでネットと低価格DVDは客層そのものが別じゃないか、と最近そう思ってきたわけで。
高価格DVDとかBDと客層がぜんぜん違うように思います。
希薄化はそのひとつの現象かもしれません。
いずれにせよ将来どこかで起こるであろう店舗の大量閉店による
業界の大瓦解にまきこまれないように現物DVDは順次生産数を減らし、
流通は絞られるでしょう。
来年、再来年もうちの商品が置いてあるお店は、安心なお店と思っております。
ミルキーVIPのためだけではスーパーマニアックな商品はなかなか出せませんが、
ザ・顔射のような短時間の商品を出して、
藤原愛音さんのような人気作がでたら、どうにかDVD化を考えていきたいと考えて
DVD販売は続けるつもりです。